今日はゆっくり過ごしたが、夕方約束通り、ピアノ屋のご主人の家に行ってみた。
 ワイルドライフに注意せよ!という看板のある、うっそうとした森の側で、静かな地域だった。家はとても大きくて(後で聞いたが5ベッドルームもあるそうだ)立派。
 ピンポーン・・と押そうとしたがベルがない!しょうがなくドアをトントン、ドンドン・・していたら奥さんが出てきた。ご主人はまだ帰ってきていないらしい。「昨晩、話を伺いましたわ。さあ、どうぞおかけになって・・」あっけらかんと明るい奥さんだ。ティーパックのお茶をだしてくれたので「日本茶ですか?」と聞くと「韓国のです」・・え?・・

 何とした事だろう、疑いもせずに中国人と思いこんでしまっていたが、彼(そして彼女は)韓国人だったのである。
 本当に、ちらっとも思い及ばなかった・・こうして、知らないうちに思いこんでしまっている事って結構あるのかもしれない・・。これは、自分が気づかないうちにつけているサングラスで世の中を見ているのかもしれない、といういい勉強になった。

 それはともかく、彼が帰って来て、「オー、プリーズ、インスペクト ディス ピアノ!」と早速ピアノを見せてくれた。 販売価格1千万以上の立派なコンサート用のグランドピアノだ。
 ひょんな事から破格の値段で手に入れたのだが、本当に良いものかどうか、あなたの意見を聞かせてほしいということだ。 柔らかさがもう少しあったら・・と思うが、クリアーでピン!と立った美しい音色である。というか、こちらは試すというより、しばらくぶりのグランドピアノが弾けて、ただ嬉しいという気持ちだったのだけど・・。鍵盤は象牙。その手ざわりと色合いは何ともいえない・・。

 「どうですか?忌憚のないご意見を!!」という彼の真剣な表情に、「本当に音色がクリアーで、パワーがありますね。」と言うと、これ以上の笑顔はない、というくらいの笑顔で「よかったー。」と言う。
 「ありがとう。たくさんの人が私の店には来るのだけど、素人にはこのピアノは弾かせたくない。あなたが来てくれて本当によかった!」「いえいえ、弾かせてくれてありがたいのはこちらです。楽しかったです。」
 奥さんのリクエストで『渚のアデリーヌ』を弾くと、こちらも喜んでくれてよかった。
 ただ、「このピアノは大切なので、誰にもさわらせないのです。」「娘さんに弾かせてあげたらいいのに・・。」「いやいや彼女はただの趣味だから・・。」と言うので「ピアノは、なるべくさわってあげた方がいい状態をたもてるんですよ。弾いてあげた方がピアノも喜ぶし・・お願いします。」と訴えずにはおれなかった。

 とにかく、「良い出会いができてよかった!」 という握手の後、彼の家を去った。怪しいなんて言って、ごめんなさい。奥さんも彼も本当にいい人で、ストレートに感情を表現する、生真面目といっていいほど真面目な方達でした。国が違っても、共感できることって結構あるし、結局はその人がどんな人なのかとか、どんなことを大切に思っているのかとか、そんなことが大切かな・・とつくづく感じた。

 「必ず、明日、ピアノは届けますから」「すみません、お金が間に合わなくて・・」「勿論後でオーケーです。」という事で感謝!!
 明日はうちにもピアノが来る!
 そういえば運送屋さんからも連絡があり、明日は日本から送った荷物も届くし、ソファーも届く。ついでに不動産屋さんに出した書類を見て、大家さんがいくつか修理をしてくれるらしく、修理の人も来るらしい。あとポップが来れば・・。 どうか元気にしていますように・・。